88年10月のパリ・コンサート・ライヴ盤。「ダーク・インターヴァル」の翌年の演奏だが、その印象はかなり違う。演奏当日の日付をそのまま曲のタイトルにしたは38分と以前のように長い。しかもこの曲はバロック風というかバッハ的な色彩を帯びた曲調で、展開の仕方といい音の美しさといい、まさにキースならではの固有の世界だ。後半、感きわまってエクスタシーの叫びをあげるキースに、違和感なく感情移入できるところがいい。キースのうなり声はリトマス試験紙みたいなもので、耳障りと思ったら、それは音楽に共感していない証拠。素直に感情移入できていれば、まったく不快ではないはずだ。というか、一緒に叫びたくなる衝動にかられる。 ソロ・ピアノではオリジナルを演奏することが圧倒的に多いキースだが、このアルバムではめずらしく他人の曲を取り上げている。チェット・ベイカーも録音しているラス・フリーマン作曲のがそれ。これも美しい演奏だ。最後のブルース曲は文句ナシに楽しい。(市川正二)